DDS素材としてのゼラチン (2)
2006/07/07
今回はゼラチンの利点を挙げたいと思います。
既存のDDS素材では
熱・有機溶媒・超音波処理によって
薬剤と担体(DDS素材)を結び付けていました。
しかし、
この方法では薬剤に対するダメージが大きくなります。
特にタンパク質の薬剤は熱に弱いので、この方法には不向きです。
そこで、薬剤を包み込む方式のDDS素材が開発されました。
花火みたいに火薬(薬剤)を紙(DDS素材)で包み込むのです。
この方法ですと、薬剤活性は損なわれません。
しかし、
この方法は薬剤の放出速度のコントロールが難しく
一度DDS素材が分解されると、一気に薬剤が出てしまいます。
そこでゼラチンです。
ゼラチンで作ったハイドロゲルは、
薬剤を分子間相互作用のみで引き付けます。
ハイドロゲルと薬剤を混ぜておくだけでよいのです。
磁石のプラスとマイナスがくっつくようなイメージですかね。
混ぜておくだけですから、薬剤の活性を損なうことはありません。
また、ハイドロゲルが分解されると同時に薬剤の放出が起こります。
体内ではハイドロゲルは徐々に分解されていくので
持続的な徐放が実現できるのです。
さて、ゼラチンの欠点ですが…
分子間相互作用ですから、薬剤(タンパク質)との相性があります。
また、これはDDS素材全般にいえるのですが
ハイドロゲルの分解速度に個体差があります。
弊社では、性質の異なるハイドロゲルをいくつかご用意しました。
…揃えていますが、
主要2製品でほとんどの薬剤(タンパク質)がカバーできるようです。
分解速度に関してですが
ゼラチンは比較的コントロールしやすい部類に入るようです。
よく使われるのは2週間分解のハイドロゲルですね。
もし、お手持ちの商品と相性を試したいという場合には
サンプルをお出し出来ます。
info@medgel.jpまでお問い合わせください。
研究員 松井