第29回 日本バイオマテリアル学会 その1
2007/11/30
こんにちは。
2007年11月26日から二日間にわたって開催された
第29回 日本バイオマテリアル学会に参加してきました。
分子生物学会などに比べると小さめの学会になりますが
色々面白い発表がありましたので
ご紹介させていただきます。
一つ目は「角膜全層の再生医療技術の開発」
という演題の発表です。
東北大学の西田先生が発表されていました。
角膜は3層から構成されていますが、
上皮層、実質層、内皮層、それぞれの再生を試されていました。
上皮層は損傷のない方の目、あるいは口腔から幹細胞を採取できるので
比較的簡単に、細胞を増やして角膜の細胞シートが作れるそうです。
実際に角膜上皮を損傷した患者さんの目に移植し
視力が0.01から0.7や0.9に回復した研究例を発表していました。
二つ目は
「BMP-2含有ゼラチン/β-TCPスポンジの顎顔面
骨再生医療への応用~ラット下顎骨骨欠損部
の再生実験」です。
こちらは神奈川医科歯科大学の松本先生が発表されていました。
内容は題名どおり、下顎骨に骨欠損があるモデルラットを使用して
骨欠損部の再生を研究されています。
ゼラチンハイドロゲルに骨の構成成分の一つであるβ-TCPを入れ、
細胞が入りやすいスポンジ構造にしたものに
骨の再生を誘導するBMP-2と呼ばれるタンパク質を浸み込ませて
骨欠損部に移植しました。
分かりやすく言うと、骨が再生しやすいように
増殖するための足場と栄養をまとめて投与し、
骨再生が起こるかどうかを確認したものです。
結果は期待通り、足場と栄養を与えたラットは
8週目には欠損腔の消失が認められましたが、
足場だけでは効率良く骨が再生していませんでした。
足場も栄養もない場合には全く新生骨の形成は見られませんでした。
…アイデアを聞くと当たり前のような結果ですが、
現実に結果として出すというのが難しい分野だと思います。
実際にこのようなコンセプトの商品はまだないですしね。
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忘年会のシーズンです。
お付き合いやプライベートなものなど
色々ありますが…
太ることの無いよう気を引き締めて年末年始を乗りきるつもりです。
研究員 松井