第29回 日本バイオマテリアル学会 その2
2007/12/18
こんにちは。
ずいぶんと間が空きましたが
日本バイオマテリアル学会のご報告2回目です。
バイオマテリアル学会2日目の発表で
細胞を3次元に構築する技術の発表がありました。
本当の再生医療には
3次元構造を持った各種細胞の集まり、
組織を再構築することが必須です。
細胞も人と同じで”いろんな細胞が集まった組織”をつくることで
より大きな器官をつくったり、本来の働きを出すことが出来ます。
ところが、通常は単一細胞を平面に培養して研究したり
治療に用いるのが普通なのです。
(財)神奈川科学技術アカデミーの逸見千寿香先生は
インクジェットプリンタを使って3次元の管状構造物をつくる技術を開発されました。
複数の細胞を使った2層構造なども可能だそうです。
その後の培養方法など課題はありそうですが、
工学と生物学が結びついた面白い研究になりそうです。
もう一つご紹介したいのは1日目の
(独)医薬基盤研究所の小原有弘先生のご発表です。
先生は細胞バンクにある培養細胞の染色体解析を行っておられました。
その手法を利用して、細胞治療に使う細胞の品質評価が出来ないか
という視点での発表でした。
大雑把にまとめると、
・ある細胞群が正常かどうかは見た目では全く判別がつかない
・もし不良(?)の細胞が混じっていても、他より良く増える、
一定量以上の染色体の変化があるなど目だった特長がないと見つからない
・人から取った間葉系幹細胞も16代程度飼い続けると
染色体がモザイク状になっていたこともある
一方で、
生体内でも染色体の転座などは普通に見られることもあり、
どこまでが普通の(&良い)細胞で、
どこからが異常な(&避けるべき)細胞なのか線引きは難しい
とのお話でした。
他のお薬と同じくリスクvsベネフィットの話なのでしょうが
リスクを正確に判断するまでに、まだまだデータの積み重ねが要りそうです。
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12月は横浜で行われた創傷治癒学会も参加してきました。
ちょうどブラジル代表が横浜スタジアムにいるときに
すぐ近くのホテルでテレビを見てました。
学会会場の高級ホテルも厳戒態勢で
サッカー選手が泊まっているのかなーと思ったりしてたのですが…。
まあ、あんまり関係なかったです。
研究員 松井