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コラーゲンとゼラチン、PI9とE50 その2

2009/04/15

こんにちは。

本日は前回の続き、
ゼラチンコラーゲンPI9E50の違いについて
説明していきましょう。


幹細胞に特化した遺伝子導入試薬SugarFect
サンプル配布のお知らせは次回に行いますね。


さて、前回の説明では
コラーゲンよりもゼラチンのほうが親水性が高く電荷を持つため
MedGelの原料に適しているとご説明しました。


特に電荷が徐放能に影響を与える例を下に示しましょう。

下のグラフはPI9、E50からプラスミドDNAを徐放させた時の
投与箇所へのDNAの残存率、ゲルの残存率を測定したものです。


DNAの徐放効率.jpg


DNAの徐放効率2.jpg

PI9は一般的なコラーゲンと同じ原材料から精製されていますので
比較的コラーゲンに似た性質を持つものです。
BMP-2などを徐放させる場合にはこのPI9で十分なのですが
マイナス電荷の強い核酸ともなるとPI9では力不足です。

PI9に核酸(プラスミドDNAなど)を滴下すると
E50の80%程度のDNAを保持することが出来ます。
しかし図(上)を見ていただくと分かるように
MedGelの分解よりも先に
核酸は拡散でハイドロゲル中から出て行ってしまいます。


E50は核酸を徐放させるために
化学的に修飾を行い、プラス電荷の数を増やしてあります。
プラス電荷を増やすことで
核酸はハイドロゲル内に強く結合し、
ゲルが分解されるまで放出されなくなっています(図下)。


さて、上のデータから
マイナス電荷の強い核酸の場合には
強いプラス電荷を持つE50が徐放に適しているとは言えるのですが
他の薬剤の場合にはどうでしょう?

MedGelは電荷以外の分子間相互作用も利用して
薬剤を保持、徐放します。
ですのでPI5, PI9で良い結果が得られる場合には
無理に電荷の多いものを選ぶ必要はありません。

実際にE50は単体で大量投与をすると
炎症反応が起きやすいという欠点もあります。
あまりにも電荷が多すぎても良くないのです。

通常の細胞増殖因子、抗体、ペプチドの徐放には
ゼラチンの性質である
・ 高い細胞親和性
・ 水との親和性
・ 適切な電荷の量
を利用したMedGel PI5、PI9を、
核酸のin vivo transfection, ex vivo transfectionには
特に電荷を増やしたMedGel E50を、
使い分けてご使用下さい。


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春です。

先日、どこからともなく鳥の鳴き声が…
と思って外を見たら
窓の近くに立派な鳥が止まっていました。

彩都 窓.jpg

↓拡大
彩都 窓2.jpg

3月の忙しい時期だったので
少し心が和みましたよ。


研究員  松井




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