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第9回 日本再生医療学会 報告 (1)

2010/03/29

こんにちは。

本日は2010年3月18日~19日に開催された
再生医療学会の報告です。

どなたかがiPS学会とおっしゃっていましたが
今年はiPSに言及した発表が非常に多かったです。

そしてiPS研究の総本山である
山中研での最新の研究成果発表もありました。

さて、気になる山中先生の発表ですが…

iPSの作製に際して必ず言われるのが
レトロウイルス使用の危険性、
プラスミドの場合でもゲノムへのインテグレーションの危険性です。

しかし、慶応大 岡野先生との共同研究によると
作製方法とは関係なくロットによって
ガン化しやすい(テラトーマ形成ではない)
細胞集団が混じっているそうです。

そんなことからES細胞=iPS細胞ではないとの考察でした。
今後3年ぐらいで良い/悪い細胞集団の見極めをされるそうです。

ロットごとに厳密なQAが必要、
採取から臨床使用まで数カ月
ということで、
臨床応用を目指す方の中では
患者ごとのオーダーメイドではなくセミオーダー形式の
iPSバンクをつくるのが現実的との認識のようです。


さて、その他のiPS関連の発表ですが
大きく分けて3種類。

樹立方法
分化誘導方法
評価方法
でした。

今まで幹細胞の臨床研究をされていた先生方は
採取できる細胞数、細胞腫の限界
による治療効果の限界を感じていられたのか
iPS細胞に期待したいとのコメントを多く出しておられました。

ただ実際にiPSを用いてモデル動物を治した
といった実験を私は聞くことができませんでした。

来年に期待…ですね。


文科省のブースでiPSプロジェクトの広報誌を入手しました。
資料からの抜粋ですが
下記サイトで各種プロトコルや講習会情報が入手できます。
ヒトiPS細胞の扱い方技術講習とテキスト(東京大学)
ヒト多能性幹細胞培養各種プロトコル(理研)


(今回のブログに記載の内容に関しましては
すべて弊社研究員の見聞によるものです。
間違い、勘違いがございましたらお知らせください。)

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iPS細胞の実用化に関しては
作製方法、中間プロセス、品質管理
が大事なわけですが…

ふと、
科学というよりモノづくりの分野だなあと
思いました。

今は医学部の方がリードしていますが
TOYOTAとか全く分野違いの会社が
入ってきたら面白いですね。

主席研究員 松井

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