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バイオマテリアル学会 その2 ~メドジェル関連~

2006/12/28

ずいぶん遅れ気味ですが
バイオマテリアル学会の報告、第2弾です。

1日目の午前に開催されたシンポジウム
「バイオマテリアルを活用した軟組織の再生誘導治療」
においてゼラチンハイドロゲルを使った再生研究の成果が
お二人の先生から発表されました

発表されたのは
京都大学医学部心臓血管外科の米田正始(こめだ まさし)先生と
長崎大学第二内科の阿部克成(あべ かつしげ)先生です。

米田先生はゼラチンハイドロゲルとbFGFとを組み合わせて
血管新生を誘導する研究をされています。

血管新生を誘導するにはいくつかの方法がありますが
ハイドロゲルとbFGFを使った場合には
他の方法と比べて大口径の血管を新生することができるのだそうです。

また、薬とハイドロゲルと組み合わせると
薬の血中濃度がほとんど上昇しないのだそうです。
このことは、薬が体内を循環しないため、
期待しない部位での血管新生・細胞増殖が防げることを意味します。


米田先生は血管新生・細胞移植を中心に発表されていましたが
安部先生は腹膜の繊維化・硬化症防止を中心に発表されていました。

人工透析といえば血液透析が主流ですが
簡便で患者さんに負担の少ない方法として
腹膜にカテーテルを入れて透析を行う
腹膜透析という方法が開発されています。

この方法は血管透析に比べて利点が多いのですが
長期間カテーテルを入れることで被嚢性腹膜硬化症、
腹膜機能の低下など合併症を起すリスクがあります。

そこで、安部先生のグループはマウスの腹膜繊維症モデルをつくり
1)HSP47遺伝子の発現抑制、
2)HGF遺伝子の強制発現
の2種類の方法によって
繊維化の前段階である腹膜肥厚を抑制することに成功しました。

1)の場合にはカチオン化ゼラチンとsiRNAを組み合わせて
腹腔内でHSP47のsiRNAを徐放させていました。
また2)の場合にはHGF遺伝子をマクロファージに導入する時に
カチオン化ゼラチンを使用して遺伝子導入されていました。


ゼラチンハイドロゲルはタンパク・ペプチドの徐放に強いのですが
カチオン化ハイドロゲルは負の電荷を持つ
核酸(DNA・RNA)と相性が良く遺伝子導入に使えます。

今のところハイドロゲルのみ製品化しておりますが
カチオン化ハイドロゲルにご興味のある方はメールにてお問い合わせ下さい。

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今年も残りわずかとなりました。
弊社は12月29日から1月3日までお休みを頂きます。
よろしくおねがいします。

研究員 松井




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